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時を超えた物語は、時代を超えた名作となった。


どーも、たけGです。


本日3月11日はSFC「クロノ・トリガー」発売29周年!


最初に一報を聞いた時にはとても心が躍り、ちょっぴり心がザワついたのを覚えています。

最初に目にしたのは週刊少年ジャンプでの特報だったかな。


「ドラゴンクエスト」の堀井雄二さん、鳥山明さんが、「ファイナルファンタジー」の坂口博信さんとタッグを組んでソフトを販売する!

という衝撃。


「ドラクエ」と「FF」と言えばSFC、いや日本のRPGの2大巨頭。 

当時ファンの間でよくこの2タイトルが1つになった「ドラゴンファンタジー」が夢物語として語られていたと思いますが、それが現実になった瞬間でした。


「ドラクエ」は日本のRPGの大定番にして揺るぎないスタンダード。 

システム等はFCの頃から大きく変わることなく、堀井雄二さんの紡ぐ物語と鳥山明さんの描くキャラクターやモンスターに、老若男女関わらず少年のような冒険心で楽しむことの出来る漫画や文芸書をゲームにしたような作品ですね。

グラフィックに関しては十分に綺麗なのですが他のゲームより優れている、というわけではなく、それでも、それがドラクエだからと絶対的な安心感で楽しめるシリーズなのです。


対して「FF」は常に挑戦や革新を標榜してきたシリーズ。

1作ごとに物語やシステムは様変わりし、ともすれば全く別のゲームとも言えるぐらいに変化していきます。

緻密に描かれたグラフィックや、天野喜孝さんがデザインした幻想的なキャラクターにモンスター。

どちらかと言えば大人向けな雰囲気を漂わせ、1つ1つのイベントにも派手な演出で魅せてくれる映画的なゲームでした。

何よりも他の追随を許さない美麗なグラフィックこそが「FF」の醍醐味とも言えたでしょう。


そんな2つのシリーズを手掛けてきたスタッフが集結して1つのゲームを作る。

一体どんなすごいゲームが出来るんだろう。

スクウェア発売だから「FF」ベースになりそう、「FF」のような美麗なグラフィックの「ドラクエ」のようなゲームが出来るのだろうか。

ホント、ワクワクが止まりませんでした。


一方で何に心ザワついたのかというとですね…


今でこそ「ドラクエ」も「FF」も、スクウェア・エニックスというメーカーから発売されたのですが、当時は「ドラクエ」はエニックス、「FF」はスクウェアと、合併前の別々だったメーカーから発売されていたのです。 


そして両社はお互い鎬を削るライバル関係にあったメーカーです。

記事を見る限り、両社がコラボしたわけではなさそうだし、共同開発というわけでもなさそう。

「ドラクエ」の堀井雄二氏、と書かれてはいるけれど、エニックスの堀井雄二氏と書かれているわけではない。


と、言うのも当時の堀井雄二氏はフリーランスの立場で「ドラクエ」の制作に携わっていたわけでエニックスの社員だったというわけではなかったのですね。

(元々エニックス社自体パブリッシャーであり、ゲームを直接制作していたわけではありませんでしたし)


そして鳥山明さんも本業はご存知「ドラゴンボール」を代表とする作品を執筆していたマンガ家さん。

もちろんエニックスの社員ではありません。


そんなお二人がスクウェアから発売されるソフトに参加する。

これはエニックスからスクウェアに移籍すると言うことなのか?

それではこの後の、まだⅥの発売を控えている「ドラクエ」はどうなってしまうのか?


そのように心がザワついたのは僕だけではなかったと思いますが、どうでしょう?


ちょっと記憶が定かではないのですが、このニュースからしばらくしてエニックスから堀井雄二さんが「クロノ・トリガー」制作に関わることに対して好意的なコメントが発表されたように覚えています。

「ドラクエⅥ」も順調に堀井さんを中心に制作されていますといった内容も加えられていて安心できた一方で、この後またしばらくしてからエニックス社が堀井さんを取締役として迎えたと言うニュースが出たようにも覚えているのです。


なのでやっぱりエニックスとしても堀井さんがスクウェアでゲーム開発に携わると言うことに心穏やかではなかったのかもしれないですね。


両社が合併した今となっては信じられないような話ですが、当時は結構メーカー間でバチバチしていたような話もあったのですよ。


ゲームとしてはとても楽しみ、でもその周囲にまつわる話も気になってしょうがない。


そんな特別な環境下で発売された「クロノ・トリガー」と言うゲーム。


もちろん予約して、発売日すぐに買いました。

当時はもう社会人になってましたので、会社帰りに予約していたゲームショップに立ち寄って購入しました。

夕飯食べて風呂入ってすぐに遊日始めたように覚えています。


時計の振り子が左右に揺れ続ける印象的なオープニング。

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これから始まる冒険に心躍らされた記憶、鮮明に思い出せます。

今でも動画などでこのオープニング見ると心踊るもんなぁ。


遊んでみてやっぱりそのグラフィックに目を奪われましたねぇ。

細部まで緻密に描かれたグラフィック!さすがはスクウェアだなあと感心しました。

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前年に発売された「ファイナルファンタジーⅥ」の時点でSFCの頂点とも言うべき緻密なドット絵を魅せてくれていたのですが、この「クロノ・トリガー」は更にそれを上回るものでした。


背景などはもとより、注目すべきはキャラクターのグラフィック。

街やダンジョンなどで表現されるキャラのグラフィックは、「FFⅥ」のものよりも一回り大きく、そしてそのキャラがキビキビと細かくアクションする動作に目を見張ったものです。

更にはしっかりと鳥山明さんが描かれたキャラをそのままドット絵で描き、まるで生きているかのように動き回る。

クロノが、マールが、ルッカが鳥山絵そのままに活き活きと動くそのグラフィックに、パーティキャラが増えるたびについつい動かしまわったものです。


地味な着眼点かもしれませんが、個人的に一番感動し、印象的に心に残っているのが移動シーンです。

「ドラクエ」と同じくパーティメンバーが一緒に移動するのですが、この移動シーンでキャラ1人1人の歩き方は共通ではなく、それぞれのキャラの特徴に合わせた歩き方、走り方をするんですね。

「FF」ではフィールドマップや街中などでは先頭のキャラのみ表示されて歩くのですが、歩き方は全キャラ共通、目の前に向かってまっすぐ歩くのみ。

パーティで移動する「ドラクエ」だって勇者だろうがビアンカだろうがホイミンだろうが歩くアクションにそこまで変化は見られなかったのです。

それが「クロノ・トリガー」はキャラによってそれぞれ特徴が違ったんです。

キビキビと走るクロノ、少し内股気味で女の子らしく走るマール、蛙らしくピョコピョコ歩くカエル、浮遊しながら移動する魔王というようにキャラ1人1人の歩く、走るのアクションが非常に凝っていてみているだけで楽しかったんですよ。


更にフィールドのキャラがそのまま画面切り替えなしに移行する戦闘システムも衝撃的でした。

フィールドに徘徊するモンスターと接近すると戦闘に突入するシンボルエンカウント方式でしたが、画面が戦闘画面に切り替わるのではなくフィールド画面そのままにシームレスに戦闘へと突入するシステムにただただ感動。

戦闘は「FF」のATBを発展させたものですが、横視点で順番が回れば攻撃や魔法、防御を選択していた「FF」のそれを更に発展させたものでした。

戦闘場面では横からではなく上から見た視点となり、不動だった敵モンスターは移動します。

つまりは場所取りも必要になり、モンスターの位置や並びによって戦略を変更するという、よりアクティブなものになっていました。

この戦闘場面でも各キャラはそれぞれ特徴的な動きをしており、見ていて飽きが来ないようになってます。


グラフィック、システムともにこれはすごいゲームだ、心からそう思いました。


音楽もかなり特徴的で印象に残ります。

「ドラクエ」はもとより「FF」とも毛色の違う音楽。

言葉にして表現するのが難しいのですが、光と影が交錯するような情景を音で表現しているような、そんなイメージの音楽がゲームを盛り上げていました。

それぞれの曲を聴くと、ああ、クロノ・トリガーだなあと思える独特の音楽に魅せられたものです。


そんな美麗なグラフィック、極上のシステム、、特徴的なBGMによって紡がれる物語。

タイムトラベルをテーマにして現代、過去、未来を何度も行き来するキャラクター達に一喜一憂させられました。


敵味方問わず個性的かつ魅力的なキャラばかりで、それぞれへのエピソードが物語を盛り上げてくれます。

この辺はさすがの「ドラクエ」の堀井雄二さんだなあ、とも思えますが、実は堀井さんが関わったのって初期のプロットと制作工程の監修で、キャラクターの細かな設定やシナリオの執筆には関わってなかったとか。

実際の設定やシナリオはスクウェアのスタッフが担当しいたようで、そのためか、ドラクエで見られるような堀井節はあまり見られません。

まあこの当時はメインの仕事であった「ドラクエⅥ」の製作が追い込みに入っていた頃だと思われるので細かい作業までには参加できなかったというところでしょうね。

それでも最初の企画から製作段階での確認、監修は行っていたと思われます。

実際、堀井さんの提案やプロット作りはゲームにかなり影響を与えているようで、例えば主人公クロノが一切喋らないのは堀井さんのアイデアによるものが大きいようです。


「ドラクエ」の主人公、勇者と言えば黙して語らずの無口主人公が常。

これについては堀井さんの、ゲームの主人公はプレイヤー自身なのでプレイヤーの性格を投影させるべきというスタンスから喋らないようにしているのですね。

まあこのスタンスは「ドラクエ」ならではというわけではなく日本のRPGの基本的なスタンスみたいなもので、「MOTHER」シリーズや「女神転生」シリーズも同様の無口主人公が常となってます。


一方で「FF」シリーズをはじめとしたスクウェアのゲームの主人公たちは基本的に饒舌に喋ります。

これは「ドラクエ」をはじめとしたプレイヤーの分身としての主人公のスタンスではなく、プレイヤーは主人公を操作しながらその物語を俯瞰的に楽しむスタンスによるものからです。

喋らない主人公、喋る主人公、そのどちらに感情移入出来るかはプレイヤー次第でしょう。


ちなみに僕は無口主人公の方に感情移入出来る方です。

他のキャラクター達との会話を脳内で組み立てていくのが好きなので、今作でも自分なりのクロノ像を頭の中に作り上げてました。

元々が「ウィザードリィ」が好きでしたからね。

必要最低限の情報だけで脳内で物語を作り上げるプレイを楽しんでいたので、無口主人公は大歓迎でした。


ですが、スクウェアの作風はそうではなく。

「FF」シリーズをはじめとして物語、演出重視の作風のため、主人公にも個性づけがなされます。

操作する主人公がコロコロ変わることも珍しくありませんからね。

喋る主人公がもはや作風であり、伝統であるわけですよ。


なので「クロノ・トリガー」においても主人公クロノに喋らせるべきといった声が多かったことも想像に難くありません。

実際に坂口さんをはじめとしたスクウェア社内の声は喋らせるべきといった意見が大多数を占めていたという話をどこかで読んだように思います。


ところがこれを堀井さん1人が無口主人公であるべきと押し切り、クロノは喋らない主人公となった。

企画と監修のみと言いながら、このゲーム全体に与えていた堀井さんの影響力が強かったと思えるエピソードだと思います。


そうして堀井さんの出した原案を、「FF」や「聖剣伝説」などを手がけてきたスクウェアのクリエイターたちによって一つの物語としてまとめられた「クロノ・トリガー」は希代の名作となりえたのではないかと思うのです。


現代から過去、未来へと時間を超えて、時代を超えて駆け抜けたクロノたちの冒険を、僕は今でも時間を超えて鮮明に思い出すことが出来ます。

それだけ鮮烈で、印象に残るゲームでした。


今回はSFC「クロノ・トリガー」の思い出語りでした。


SFCにはいわゆる名作RPGがとても多いです。

好きな作品もたくさんあります。


「MOTHER2」に「真・女神転生」シリーズ、「ゼルダの伝説神々のトライフォース」「ガイア幻想紀」…

「ドラクエ」に「FF」ももちろん好きです。

もちろん「クロノ・トリガー」だって、好きといえるゲームです。


そんな名作たちの中で、"ゲーム"としての完成度が高いのが、この「クロノ・トリガー」ではないのかと思います。


グラフィックや物語のみならず、システムや音楽まで非常に高いレベルでまとまっているこの「クロノ・トリガー」

SFCというハードの1つの到達点とでも呼べるゲームかもしれません。


堀井雄二さん、鳥山明さん、坂口博信さんのドリームプロジェクトによる超大作。

ともすれば堀井さん、鳥山さんに比べると坂口さんは少し地味に見られがちかもしれませんが、これだけの大きなプロジェクトをまとめたのは坂口さんの手腕によるものが大きいでしょう。

主人公が喋る喋らない問題の他に、堀井さんのプロットがなかなか上がってこない問題もあったそうです。


当時の「FF」をはじめとしたスクウェア作品は発売日をきっちりと守る納期優先型でした。

対して「ドラクエ」は当時に限りませんが、堀井さんが納得いくものが出来なければ平気で発売日を延期していました。

今作の製作においても、堀井さんの納得のいくプロットが練りあがるまでに時間がかかったようで、求めている時に上がってこず、スクウェアのスタッフもやきもきすることもあったとか。


そんな堀井さんの遅筆癖が出たにも関わらずに予定通りに世に出たのは、坂口さんが多くのスタッフをまとめ上げたからではないかなあとも思うのです。

実際に製作現場を仕切っていたとはFFシリーズでお馴染み、北瀬佳範さんだったらしいですが、そんな現場のスタッフと堀井さんの間に入って橋渡しなどもして、気苦労も多かったんじゃないかなぁ、坂口さん。

ま、ここは僕の想像でしかありませんが。


そんな「クロノ・トリガー」、僕は何周も何周も遊びました。

と言うのもこの「クロノ・トリガー」には『つよくてニューゲーム』がありましたから。

今でこそ珍しくないシステムですが、当時としてはかなり画期的で。


「ドラクエ」にしろ「FF」にしろ、一度クリアしたゲームを最初から遊び直すとなると、レベル1からのやり直しが常でした。

ところがこの「クロノ・トリガー」はクリアしたレベルのまま最初から遊び直すことが出来て、これが楽しくて仕方ありませんでした。

このゲームはいわゆるマルチエンディングで、いろんな楽しみ方が出来ます。

ある程度ゲームを進めたらラスボスにも好きなタイミングで挑める事が出来ましたしね。

いろんなタイミングで挑戦したものです。

本当に何度も何度も遊びましたねぇ。

そんな楽しみ方も含めて、"ゲーム"としての完成度が高い作品だと思います。


今回の記事のタイトルとして書いた、“時を駆けぬけた、クロノ”とは、当時の批評専門誌で掲載されたクロノ・トリガーについての記事タイトル、”時を駆けぬけられなかった、クロノ…”にあてがったものです。


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この雑誌のことをどれだけの人がご存知か定かではありませんが、ちょっとアンチ・スクウェアの傾向が強い雑誌でした。

クロノ・トリガーについての記事でも、タイムトラベルものの話を作るなら過去の世界で行った事で未来の世界がどんどんいろんな方向へ変わっていくぐらいにしないといけないとかいった、SFCのスペックどころか今のPS5でも無理だろう!とか思えるぐらいの無茶な難癖をつけておりまして。

”時を駆けぬけられなかったクロノ”というタイトルも、そういった、これはタイムトラベルになれてないですよみたいな、皮肉や揶揄を込めてのものだったのでしょう。
 

ですが、クロノは十分に時を駆けぬけたと僕は思うのです。

SFCというハードの制約の中での時間を超えた冒険はもちろんのこと、「クロノ・トリガー」というゲームは時代を超えて愛され続けています。


SFC版の発売の数年後にはPS版が発売。

クロノ・トリガー


このPS版、僕はSFCの強くてニューゲームでまだまだ遊べていたので、レベル1の最初からわざわざやり直すこともないかと思って買わなかったのですが、SFC版を遊ばなかったPSユーザーが「クロノ・トリガー」というゲームに触れるきっかけになったのではと思います。


更にその数年後にはNintendo DS版が発売。

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携帯機で気軽に遊べるならと、このDS版は購入しました。

SFC版を遊んでから10年以上経っていましたが、変わらず楽しめましたし、1度クリアした後は以前と同じように強くてニューゲームで何度も遊んだものです。

携帯機で遊びやすいというのもあって、今でも時々遊びたくなります。


そして今ではスマホやSteamで遊べるアップグレード版が販売されています。

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グラフィックなどが強化された実質リメイクのような作品なのかな。

僕も半額ぐらいのセールの際にiOS版を購入しましたが、どうにもスマホでゲームを遊ぶことに慣れなくて積んだままです。

いつか遊んでみようかな…

いや、遊び直すならやっぱり強くてニューゲームで遊び直せるDS版かな…


このようにSFC版発売から20年以上経つのに最新のPCやスマホで遊べるようになっている「クロノ・トリガー」


まさに時を駆けぬけた名作だと断言できるゲームなのです。



今回はこの辺で。


いつかまたここで会いましょう。


それでは…

僕らの夢が今、時空を越える!