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本日、9月9日はネオジオCDの発売日だったそうで。

今も忘れられない、ネオジオCDのあんな思い出やこんな思い出。



どーも、たけGです。


令和になっても相変わらずゲームで遊んでいます。

平成の時代、最初に購入したゲーム機はスーパーファミコン。

平成最後に購入したゲーム機はNintendo Switch。

なんだかんだで任天堂のゲームで遊ぶことが多かった平成の30年でしたが、とあるゲーム機を思い出すといろんな感情が現れては消えていきます。


そのゲーム機の名は「ネオジオCD」。


9月9日というこの記念日に、ネオジオCDの思い出を紐解いていきたいと思います。


時は1994年末。

この年のはじめに発売された3DO-REALを皮切りに、スーパーファミコンに取って代わろうとする新世代のハードが多数世に出てきました。


セガサターン、プレイステーション、PC-FX、プレイディア、ジャガー。


そんな数多の選択肢の中から僕が選んだのはSNKから発売されたネオジオCDであったことは以前に書きました。





その当時の僕はゼルダとメガテンとFFとドラクエが大好きなスーファミっ子だったので、次世代機と呼ばれていたサターンやPSを買う予定はなく、ウルトラファミコンとか呼ばれていた任天堂の次世代機待ちだったのですが、その僕がネオジオCDを買うに至ったのはひとえに「真サムライスピリッツ」を遊びたかったから。

詳しくは参考記事の方に書いていますが、ハードというものはいかに遊びたいソフトが出るかということを端的に示している事例だとも思います。


まさにキラーソフト。

だって、この頃のSNKは、ネオジオのゲームは他機種には移植しない宣言をしていたので、当時の最新作だった「真サムライスピリッツ」や、今後の新作もネオジオハードを持っていないと遊べないという事情になっていたわけですよ。

なので、「真サムスピ」や「KOF」遊びたさに僕と同じようにサターンやPSではなくネオジオCDを選んだ人も意外に多かったんじゃないかと思います。


繰り返しますよ?

他のゲーム機で遊べないネオジオのゲームを遊びたいからネオジオCDを買った人、多かったと思います。



そういった理由で、餓狼も龍虎も好きだったけど、なによりも「サムスピ」が好きで、今後出続けるであろうシリーズの新作を唯一遊べるハードを選択したのは、偶然ではなかったわけなのですよ。


そしてそれが僕の、そして恐らくネオジオCDを購入したユーザーたちの苦難と悔恨の1年となる1995年へと繋がっていくわけです。



・ネオジオCD購入。その恐るべきロード時間との遭遇。


ネオジオCD本体と念願の「真サムライスピリッツ」を同時に購入。

ワクワクしながら自宅で遊び始め、アーケードと遜色ないオープニングに感動後、まずは覇王丸を選択してプレイ開始直後に尋常ではないロード時間を目の当たりにしたわけなんですよ。

パラパラめくれていく2頭身キャラたちのめくり絵を見ながらゆっくりとオレンジ色のバーが伸びていく「NOW LOADING…」の画面。


1〜2分待ってようやく対戦がはじめられるというものでした。

スーパーファミコンの「ストⅡ」や「サムスピ」では遭遇することのなかったロード時間。

相手に勝って気持ちが盛り上がると同時にその後のロードで気持ちが削がれましたが、それ以上に負けた後のコンティニューでロード時間を挟むのは更なる苦痛でしかなかったですね。

特にこの頃のネオジオの格ゲーって、CPUの鬼畜っぷりが有名で、後半ステージやボスキャラとの対戦においてはクリアするためのコンティニューが当たり前でして、羅将神ミヅキに連敗を重ねては何度も何度もロード中の画面に遭遇するハメになりました。


CDロムのゲーム機って、このネオジオCDが僕にとっての初体験だったので、これが当たり前なのか、PCエンジンユーザーやメガCDユーザーにとってはこれが日常だったのかとも思ったのですが、友人宅のセガサターン「バーチャファイター」で遊んだ時に、いや、やっぱり普通じゃねぇなって思ったもんですよ。


まずひとつはセガサターンや同時期発売のプレイステーションは倍速のドライブを採用していたのに対して、ネオジオCDは等速のCDロムを採用していたというのもあるのです。

ですが、ネオジオCDのロード時間の長さの理由はそれだけではなかったんですけどね。

大体にして倍速のサターンやプレステと比べてのロード時間の長さが2倍どころかシャア専用ザクと通常のザク以上の時間差がありましたから。


そんな地獄のロード時間を味わいながらも「真サムスピ」への愛で一心に遊び続けました。

友人たちからもロードの長さを指摘されながらも唯一「真サムスピ」が遊べることから夜な夜な集まっての対戦が盛り上がっていましたね。

その対戦熱は95年夏の「KOF95」の時が最高潮だったと思います。


また、ネオジオCDはかつてのネオジオソフトがCDとなって発売されているのでソフト資産は豊富でしたね。

「真サムスピ」熱が一段落してきた頃に初代「サムスピ」をはじめ、過去ソフトを買い集めました。

シューティングゲームの「ビューポイント」にとてもハマって延々と遊んでいたのを思い出します。


あとは「ワールドヒーローズ」。

「2」でも「JET」でもない初代の「ワーヒー」ですが、ゲーム起動時にロードしたあとは、ロード無しで快適に遊ぶことが出来たんですよ。

なんでADKにこれが出来て、SNKは「真サムスピ」で出来ないんだ!とか思ったもんですが、これは容量の問題であって「ワーヒー」以外の初期ソフトでも同様に遊ぶことが出来ました。

友人たちも「ワーヒー」最高!といって熱中して遊んでましたね。

やぱり、格ゲーって快適に遊べることが1番ですよ。



・ロード時間だけでなく、ロード回数にも疑問を持ち始める。


「真サムスピ」に続いて購入したネオジオCDの新作ソフト(過去タイトルのCD版を除いて)は「餓狼伝説3」でした。


「餓狼3」は餓狼シリーズにおいて失敗の印象が強く、黒歴史的な扱いをされていることが多いですが、僕は結構好きなゲームでした。

ゲームを彩る演出が非常に凝っていてですね、見ているだけで楽しかったもんです。

3ラインを上手く活かした演出が非常に優れていたんですよ。

これで肝心のゲームの操作系統やバランスが優れていたら良ゲーに成り得ていたとは思うのですが。

後のリアルバウトシリーズでは操作系や対戦バランスが見直され、良ゲーへと進化していきましたが、ラインやステージを活用した演出面においては「3」が1番優れていたなぁと思います。

この辺はやっぱり僕が大好きな「サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣」にも通じるものがありますね。


一方でロード時間の長さに合わせてあいだに挟むちょっとしたロードも気になるゲームではありました。


対戦がはじめる「Go!」のあと一瞬だけ読み込みを挟んでスタートするんですよ。

別に長いロード時間が挟まれるわけではなく、ほんの一瞬なのですが、それでもやっぱりスタート前に「ちょっと待った!」と言われる感じでテンポがズレちゃうんですよねぇ。

100メートル走で、ヨーイ、ドン!のあと一瞬ストップかけられるようなもんです。

凝ったステージ演出が一因なのかもしれませんが、やっぱり気持ちが削がれる感じがしたもんです。


それと、その後購入した「ワールドヒーローズ パーフェクト」

シリーズ最新作であって容量も大きく、初代のように一括ロードというわけにはいきませんが、ワーヒーらしく楽しいゲームでした。

ところでこのゲーム、1人用のモードの最後ではボスキャラであるゼウスから1本とった後、ラスボスであるNEO-DIOが乱入してくるという演出があるのですが、この乱入時にもロードを挟むのでせっかくの演出が台無しでした。

「スーパーストリートファイターⅡ X」での豪鬼乱入時にロードを挟むと考えたら、その演出の台無し感を理解してもらえるのではないでしょうか。

どうせ長いロード時間なんだから、ゼウス対戦前にNEO-DIOの分も読み込んでおいて回数減らす工夫が出来なかったかなあと思われるエピソードでした。



・まさかの他機種参入、SNKの裏切り。


1995年の夏は我が家では「KOF95」が非常に盛り上がっていました。

ロード時間を少しでも緩和するためにチームバトルではなく、シングルマッチを主に遊んで盛り上がっていた記憶があります。

そんな夏の終わりの頃だったでしょうか。

衝撃的なニュースが飛び込んできました。


「SNKとセガがクロスライセンス契約を締結」


SNKとセガがお互いのハードに参入し、ソフトを供給するというもので、SNKサイドからは早々と最新作である「KOF95」をサターンで発売するという発表がなされたのです。

前年に「ネオジオソフトは他ハードへ一切移植しない」と声高らかに宣言し、僕らをネオジオCD購入へ踏み切らせたSNKの最初の裏切りでした。


ですがこの時はまだ、裏切られた感は薄く、クロスライセンスだからお互いのハードのソフトが遊べるようになるSNKとセガ両者の相互契約なんだと思ってました。

僕のネオジオCDで「バーチャ」が遊べるようになる(冷静に考えればそれはありえないのですが)、面白そうだけど遊ぶ機会のなかった「ソニック」や「シャイニングフォース」が僕のネオジオCDで遊べるようになる!と、喜んだ気持ちの方が強かったし、信じていたわけなんですよ。


繰り返しますよ?


ネオジオCDでセガのゲームが遊べるようになるって、信じて疑わなかったんですよ。


ですが、セガからネオジオで発売されるソフトの情報は一向に出てこないし、気配もない。

SNKからは看板ソフトである「餓狼3」や「KOF95」が早くも発売されるというのに、「バーチャ」どころか「ソニック」が出る様子もない。

これはSNKがセガにいいように言いくるめられてきまったんじゃないかと、SNKではなくセガの方へ疑心の目を向けてしまってもいたわけなんですが…


そのうちに出てきたSNKの更なる裏切り。

「SNK、プレイステーションに参入」のニュース。

クロスライセンスでもなんでもない、純然たる他ハードへの参入。

SNKの裏切りが決定的になった瞬間でした。


しかも、移植すると宣言したソフトの中に、その時の最新作であった「サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣」も含まれていたんです。

「サムスピ」の最新作が遊べるのはネオジオだけ!と信じてネオジオCDを購入した僕はもう涙目でしたよ。

「大人って!大人ってー!」と、ジュドーのように怒り悲しんだもんです。

いやまぁ、この頃僕も充分大人ではあったんですが。


ともかく、約1年前に「今後、ネオジオソフトは他機種に移植しない」なんて高らかに宣言しておきながら、タカラやザウルスやケイ・アミューズメントリースあたりが移植販売するわけでもなく、SNK自身による他機種への供給。

詐欺を通り越して暴挙ですよこれは。

この頃にはもう、セガとのクロスライセンス契約もサターン参入の単なる言い訳に過ぎなかったんだと思えるようになってきました。


後々にお茶を濁すかのようにネオジオポケットで「ソニック」や「ぷよぷよ」がリリースされましたが、違うんだよぉぉぉぉ!

僕らが望んだのはネオジオCDでセガのソフトを遊べるということだったんだよぉぉぉぉ!


怒りと哀しみの涙で溺れた95年末から96年初頭でしたが、それでもまだ、サムスピシリーズ新作「斬サム」への愛で乗り切ることが出来ました。

「真サム」も他ハードでは未だ遊べませんでしたし。

後にPSの「剣客指南パック」で初代とカップリング移植されてしまいましたけどね。

「真サムスピ」遊びたさにネオジオCDを選んだ僕たちへの3度目の裏切りでしたが、その頃には「もうどうでもいいや」的な感じで、どんな感情もわきませんでしたけどね。



・まさかの新機種投入。


ネオジオCDを購入し、劣悪なロード地獄に悩まされながらそれでも愛で続けて1年、たった1年で新機種が投入されました。


その名も「ネオジオCD-Z」


当時、シェアを巡って壮絶なデッドヒートを繰り広げていたサターンとプレステは外部接続端子の省略などを加えながらもプライスダウンを繰り広げていました。

まぁ、新パッケージ投入のたびに微細なバージョンアップも行われていたと思いますが、それは目に見えるほどの大きな改変ではなかったと思います。

大きく変化したのはプレステの標準コントローラがデュアルショックになったぐらいかな。


ですが、SNKはたったの1年で大きなバージョンアップを伴う新型機を発売してきやがったのです。

そのバージョンアップはCDドライブが等速から倍速になったもの。

それは、ロード時間に悩まされ続けた僕らにとっては非常に大きなバージョンアップであったのです。


って言うか…


たった1年でそれが出来るんなら最初からやっとけやぁーーーーー!


しかも店頭販売価格が最初のネオジオCDより安くなっとるやないかぁーーーー!


本当にこの1年はなんだったのかといいたい。

そんな気持ちでこの年の年末年始を過ごしたわけですが…


正月を過ぎ、ネオジオCDで「斬サム」や「超人学園ゴウカイザー」を遊びながら思ったもんです。

倍速ドライブのネオジオCD-Zなら、快適に遊べるんだろうなぁと。

友人の家で遊んだサターンの「バーチャファイター2」や「X-MEN」を遊んだ時のロード時間の短さを思い浮かべ、倍速CDドライブになったんだから、あれぐらいの読み込みスピードで遊べるようになるんなら、より楽しくなるんだろうなぁと思いを膨らませたのです。


そして、手元には年末に支給されたボーナスもあり、僕は決断しました。


1年間、ロード地獄に耐えながら愛用し続けたネオジオCDを売っぱらい、ネオジオCD-Zを購入したのです。

今後、ネオジオゲームが移植されることが確定しているセガサターンではなく、ネオジオCD-Zに買い直し。

それは一重にネオジオへの愛と、読み込み時間が改善されたプレイ環境を夢見て、1年前と同様に再びネオジオCDを選択したんです。


僕の記憶が正しければ、当時の雑誌での紹介記事にも「倍速ドライブで、ロード時間が劇的に改善!」っていう感じで書かれていましたからね。


そして、サターン並みの読み込み時間に激変することを信じて早速プレイスタート。


ゲームは「斬サム」か「KOF95」であったと思います。


結果…


そんなに変わっていない。


落胆しました。

サターンの「バーチャ2」やプレステの「闘神伝」くらいにはなることを期待していたのにそんなレベルではありませんでした。

計測すれば、たしかに速くなっていたと思います。

現在、YouTubeなどで検索すれば比較動画等もありまして、比べてみれば確かに読み込み時間は短くなっています。


でもね…


当時はインターネットもなく、動画検証なんて出来るはずもなく。

初代のネオジオCDを売っぱらってZを購入したので、自分でロード時間の差を比べてみる術もなくなっておりまして。


ちょっとは早くなっているのかなー、ぐらいには感じたのですが体感速度としてはそんなに変わっていない印象だったのですよ。

長々と見る「NOW LOADING…」は以前の本体と変わりはなく、友人からも「そんなに変わってないんじゃね?」と言われる始末。


正直、ネオジオCDのロードの遅さはハードウェアだけに問題があるわけではなく、元々カートリッジベースで作られたソフトをCDの読み込み対策等でデータ圧縮するようなことをせず、そのまま移植していたことが原因にあったようで、それは倍速程度ではどうにもならないデータ量の読み込みが関係していたんですね。

だから倍速になっても結局読み込み時間は解消されないまま。

希望から一転、再び涙目の絶望を感じた1996年初頭の出来事でした。



・サターン版「KOF95」の衝撃


クロスライセンス契約に基づき、セガサターンで「KOF95」が発売されました。

相変わらずセガからのネオジオへのソフト供給についてはなんの音沙汰がないままに。


友人宅でサターン版「KOF95」を遊ばせてもらった時、その完成度の高さに驚き、絶望したもんです。


ゲーム内容は完璧に再現。

スーパーファミコンの頃のようにキャラサイズが小さくなったり、パターンが削られたりなんてことはなく、ネオジオ版そのままでした。


なによりも衝撃的だったのは、そのロード時間の短さ!


ツインアドバンスドロムシステムというロムカートリッジを併用するシステムによって、一瞬とまではいかなくとも、あっという間に読み込みが終了し、快適に対戦を楽しむことが出来ました。

チームバトルでも苦にならない快適さ。


悔しかったですねぇ。

本当に悔しかった。

自宅に帰り、1人ネオジオCD Zで「KOF」を起動した時にその読み込み画面の長さに改めて絶望したもんです。


なんなんだよネオジオCDって。

サターンであんなに凄い移植が出来るんなら、最初からサターンに参入して、ネオジオCDなんて出さなければよかったんだよ。

別機種でこんな神業出来るんなら、なんでネオジオCDでしないんだよ。

それでも、それでも、ネオジオCDじゃないと(ロード時間は置いておいて)完璧なネオジオゲームは遊べないからネオジオCDを選んで、遊び続けてきたんじゃないか…

サターンに移植した方が優れているってどういうことだよSNK!


この日から、僕の家に友人達が集まってネオジオCDで対戦大会が開かれる機会が減っていったように思います。


ああ、なんだか当時を思い出すだけでも泣きそうになってきた。



・ハードの性能自体に疑問を持ち始める。


1996年、「FFⅦ」がプレステで発売されることが発表され、ネオジオCD-Zを購入したのを早まったと感じながら「FF」が遊べるならとプレステを購入。

「鉄拳2」などを遊びながらもネオジオCDもまだまだ現役で遊び続け、「リアルバウト餓狼伝説」での対戦は意外に「鉄拳2」以上に友人たちと盛り上がったもんです。

(プレステではまだアーケードスティックを持っていなかったのも関係していると思いますが)


そして、当時の最新作「ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝」を購入。


デカキャラが激しくどつき合う「龍虎」シリーズの最新作で、ゲーセンで見た、明らかに前作よりも向上しているグラフィックの美しさにとても惹かれていたのを思い出します。

ネオジオの神ドットグラフィックと言えば、「餓狼 MARK OF THE WOLVES」や、「月華の剣士」シリーズが有名だと思いますが、この「龍虎外伝」のドットグラフィックもかなり神レベルのグラフィックだと思っています。

なにより、キャラがデカい!

僕は発売が決定してすぐに、ロバートのコインが付属している謎の限定版を予約。

仕事帰りに購入して、早速プレイしてみたのですが…


…あれ?


なんだかキャラちっさくね?


最初に画面を見て、思い描いていたキャラサイズと違うことに違和感を感じました。

当時の雑誌、ネオジオフリークの紹介記事と見比べてもやはり画面全体に対する最拡大時のキャラサイズが小さいように感じます。

スーパーファミコン版の「サムライスピリッツ」ほどではないのですが、なまじ大元であるはずのネオジオCDだけに、このサイズの縮小化はスーファミ版「サムスピ」よりもショックが大きかったです。

ネオジオフリークやファミ通ではネオジオCD版のキャラが小さい理由は特に書かれていなかったし、インターネットがまだ一般的ではなかった当時では調べようもなかったですが、ネオジオCDの性能が本家ネオジオに追いつかなくなってきたというのが素人目にも明らかでした。

ゲーセンで見た美麗ドットグラフィックもなんだか粗くなっているようにも見られ、明らかに劣化移植となっていたのです。


大元のネオジオのはずなのに…


サターン版KOFの衝撃に引き続いて、もはやネオジオCDというハード自体に見切りをつけるきっかけとなったと言えます。




・ネオジオCDというハードがネオジオソフトの足を引っ張り始める。

先程ちょろっと名前だけ出しましたが、「龍虎外伝」より前に発売された「リアルバウト餓狼伝説」

ゲーム自体は非常によく出来たゲームなのですが、演出がなんと言いますか、ちょっと簡素だったんですよ。

演出に関しては非常に凝って作られていた前作の「餓狼伝説3」に比べると、キャラや背景のグラフィック等は向上しているように見てとれるのですが、対戦前のデモや掛け合い、勝利メッセージが全く見られず、あると言えば要所要所で挟まるギース様関連のデモぐらいなんです。

それにキャラクターごとのステージが無くなり、数ステージを共用して進んでいく感じ。

キャラに勝利して次のキャラと対戦しても、ステージはそのまま同じものが継続されるんです。

この時はまだ、「リアルバウト」という名前に準じて本当の格闘大会っぽい演出をしているんだなぐらいに思っていたのですが、それでも、凝った演出がウリのはずのネオジオ格ゲーでこれは寂しいなぁと思っていました。


ところが、後のソフトでも同様の状況が見られはじめます。

「サムライスピリッツ天草降臨」と「リアルバウト餓狼伝説スペシャル」でもキャラ固有のステージは廃止されており、共有のステージで戦い続けるというのが採用されていたんですね。

「天サム」ではBGM自体も無くなっているステージがあったのですが、「サムスピ」は風の音や炎が燃えている音などの効果音のみで雰囲気ある対戦づくりが出来ていたので、この時はまぁ良しとしていました。

ですが、「リアルバウトSP」では前作でカットされていた対戦前後のメッセージが復活していましたが、「餓狼3」の時と比べると簡素に軽く作られている感じがしたもんです。


そして「ザ・キング・オブ・ファイターズ97」でも同様の手法が取られていました。

中間デモなどは凝っていましたが、対戦後のメッセージはバッサリカットされているうえ、ステージは使い回し。

歓声などの効果音のみで、BGMさえないステージもありましたが、静のゲームである「サムスピ」と違って、動のゲームである「KOF」でのBGMなしは寂しく感じるしかありませんでした。

対戦前後のメッセージだってお祭りゲームの「KOF」に無いのは、これはどう考えてもありえない。

せっかくのオロチ編最終章なのに、この辺の演出の簡素化のおかげで、個人的には1番残念な出来の「KOF」になってしまってます。

そして「リアルバウト餓狼伝説2」では演出の簡素化が極まっており、対戦前のデモもなくポンポン進み、ボス戦時の特別な演出すらない。

だいたい「リアルバウト“2”」なのに、どんなストーリーかもわからない「スペシャル」以上の簡素な演出。

完全に対戦ツールのみな仕様になっており、対戦格闘ゲームとしては完成度が高いようなのですが、僕のようなお一人様ソロゲーマーには非常に残念なゲームになっておりました。

後述しますが、この頃にはすでにネオジオCDは手元になく、ゲーセンやMSV筐体で遊んだだけで、その他は数年後のPS2版で遊んだ印象からなのですが、この簡素すぎる演出から僕の中でのシリーズワースト1が、この「リアルバウト2」になってしまっているんです。



かつては凝った演出がウリだったネオジオ格ゲーがどうしてこうなったか。

演出がどんどん派手になっていくカプコン格ゲーに差をつけられはじめたのは何故だったのか。


演出を極力控え目にして対戦に特化した作りになり、ステージ数もキャラ間で共有にして数を少なくしている。

これはひとえに、長すぎるCDの読み込みを極力抑えようとするためだったのだと、後に知ることが出来ました。

ディスクメディアの演出に凝った格闘ゲームには読み込み対策として、デモカット機能が用意されていることが殆どですが、そのデモカットを標準装備してカットしたままのゲームへと、「餓狼」や「サムスピ」、「KOF」といった演出が醍醐味だったシリーズが変わっていったんです。

ネオジオCDに移植することを考慮したソフト作りをするようになったがために、本家のゲームの演出作りの足を引っ張っていったんですね。


僕が聞いたこの話が真実かどうかわかりません。

他に事情があったのかもしれません。

ですが、ネオジオCDに見切りをつけ、移植することを考慮しなくなったと思われる頃の「月華の剣士」2作や「餓狼 MARKOF THE WOLVES」はSNK本来の潜在能力が爆発した、非常に凝った鬼の演出を魅せてくれました。

それを考えると1996年〜98年頃の演出が非常に簡素になっていったソフトたちを思い出すにつけ、CD読み込み対策だったと考えると納得せざるを得ないんです。

遊んではないのですが、ネオジオCDでリリースされた「月華の剣士」の読み込み時間や回数は発狂しそうなレベルであったと聞いていますしね…


・セガサターンを所有してしまう。


96年の秋頃、転勤と引越しが決まった友人からセガサターンをソフト、バーチャスティックなどの周辺機器込みで1万円で譲ってもらえました。

その後、既にネオジオCDで購入していた「斬サム」や「リアルバウト餓狼伝説」のサターン版を購入し、その移植度の高さと読み込み時間の短さに驚きながら、徐々にネオジオCDで遊ぶ機会が減っていったのです。


この頃はもう、プレステもニンテンドー64も所有していたので、ネオジオCDの稼働率が減っていたのもありますね。

「KOF96」や「サムライスピリッツ天草降臨」も購入しましたが、ロードの長さからかあまり遊ばなくなり、後にサターン版で買い直してからの方がよく遊んでいた記憶があります。

むしろこの頃ネオジオCDでよく遊んでいたのは「超鉄ブリキンガー」や「メタルスラッグ」といったアクションやシューティング系のソフトばかりでした。


格ゲーではサターンで遊ぶことの方が当たり前のようになりました。

ネオジオからの移植ソフトも読み込み早いし、カプコンの「ヴァンパイア・ハンター」や「ストリートファイターZERO2」なんて神がかってましたしね。


わざわざロードの長いネオジオCDで遊ぶことは選択しなくなり、とうとう「リアルバウト餓狼伝説スペシャル」に至っては、サターン版を待つか、とネオジオCD版を購入しなかったんですよね。


とうとう目玉の新作ソフトすら買わなくなったネオジオCD。

たった2年で兵どもが夢の跡。

最後に買ったソフトはなんだったかな。

「天草降臨」こそ、最後に買ったネオジオCDソフトかもしれない。



・さよならネオジオCD


そして97年の春頃、もう少しでようやく延期に延期を繰り返していたサムスピRPGが出るかもぐらいな時期に、当時色々あって金策をしていた僕はネオジオCD Zをソフトや周辺機器たちと一緒に手放しました。

中古屋に持っていってもそんなに高価で買い取ってもらえませんでしたね。

プレステでもなく、サターンでもなく、64でもなく、あんなに愛したネオジオCDを当時の僕が一時の金を手にするために手放したのは偶然ではなかったのでしょう。



・そして振り返るあの頃。


そんな苦悩と涙目の思い出ばかりなネオジオCDでしたが、今振り返るとここまで愛憎入り混じって向き合ってきたハードは他になかったと思います。

SNKの裏切りにより、有名タイトルは軒並み他機種に移植されましたが、それでも、ネオジオハードでなければ近年まで遊べなかったタイトルも多々ありました。


劣化移植だったけど、ROM版を除けば他のハードでは発売されなかった「龍虎外伝」

プレステ版が全くの別物だった「超人学園ゴウカイザー」

そんなにいいゲームではないけれど、なんだか憎めない「風雲黙示録」

まんまR-TYPEだけど良質なシューティングゲームだった「パルスター」

僕のネオジオCDの最後に華を飾った「超鉄ブリキンガー」


そして、なにより僕がハードを購入するきっかけとなった「真サムライスピリッツ」


先にも書いた、プレステで初代とカップリング移植された「剣客指南パック」をネオジオCDを手放した後で購入しましたが、ネオジオCD版と比べてなんだか動きが固いように感じられ、サターンの格ゲーと比べてロード時間もそんなに早いわけでもなく、「真サム」を遊ぶならやっぱりネオジオCDだったなぁだなんて思い返したもんでした。

事実、しっかりとした「真サム」を遊べるにはPS2の「六番勝負」まで待たなければならなかったわけで、僕がネオジオCDを買う決め手となった謳い文句の、「真サムライスピリッツ」を遊べるのはネオジオハードだけ!というのは、あながち嘘ではなかったんですね。


ネオジオCD-Zを手放してしばらくしてから後悔しはじめました。

手放す前は、サターンやプレステでネオジオソフト出るからネオジオハードは持ってなくていいだろうくらいに軽く考えていたのですが、移植されるタイトルは「KOF」や「サムスピ」、「メタルスラッグ」といった有名どころだけで、その他のタイトルはほぼ移植されなかったんですね。


人気タイトルの「リアルバウト餓狼伝説2」まで他機種で発売されることがなく、「ブレイジングスター」や「ブレイカーズ」といった隠れた名作もネオジオハードを持っていないと遊べなかったのです。

後に「リアルバウト2」はPS2で、「ブレイジングスター」はスマホ等で遊べるようになりましたが、「超鉄ブリキンガー」はネオジオminiにも収録されず、今もって遊ぶのが困難なタイトルになっています。


そう考えると、ロードこそ長かったけどネオジオCDはこのハードでしか遊べない名作ソフトが揃っていたんだなぁと実感。

そんなハードを手放したことは僕の人生における最大の後悔であったと言っても過言ではありません。


だって、「超鉄ブリキンガー」なんてホラ、中古車1台買えてしまいそうな値段がついてるんですよ。



僕が売った時にはトミカが3〜4台買える程度の買取価格だったような記憶が…


今回はネオジオCDというハードについての思い出を語りました。


本当にここまで愛して、恨んで、絶望して、数年経っても昨日のことのように思い出せるゲーム機は他になかったと思います。

なんだか、すっごく愛し合ったのにちょっとした気持ちのすれ違いから別れてしまって、今はもう逢えない過去の恋人を思い出すみたい。


そんな、思い出深く、業も深いハード、ネオジオCD。


あのクソ長かった読み込み時間も、今となってはとてもいい思い出で、ゲーム機1つに対してあんなに様々な感情を表すことはこの先2度とないんだろうなぁ。


いつか、宝くじでも大当たりしたら、ネオジオCD Zとソフトたちをを買い直したいという、奥さんには到底理解されない夢を抱いています。


そしたら「真サムライスピリッツ」をもう一度…



いや、やっぱりロードの一切ないSwitchのアケアカ版で遊んじゃうな。



今回はこの辺で。


いつかまたここで会いましょう。


それでは!


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